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見えない敵 -形容しようのない恐怖- [2011.03.11 東日本大震災]

 こんにちは usk です。本日は東日本大震災から11日目です。少しずつですが、被災地への物資や燃料の供給が始まったようです。少しでも早く届けてもらいたいものです。買占めしている人間たちはそんなこと、これっぽっちも考えないんでしょうね。

 今回は、福島第一原子力発電所での決死の地上放水活動を実施した、東京消防庁のハイパーレスキュー隊について、みなさんと一緒に思いをはせます。

 今回の活動は、放水距離ぎりぎりの目標へいかに水をぶち込むかという難しさとと共に、見えない敵との戦いでもありました。ミッションを終え東京へ戻った隊員(隊長ら)の会見をご覧になったでしょうか。「無事にミッションは達成した」と胸を張りながら、「隊員の家族には心配をかけた、お詫びと感謝を」と涙で言葉を詰まらせた。

 各メディアの報道で、どのような作業だったかが少しずす見えてきます。当初の東京電力側からの情報では、水をくみ上げる海側までは車で近づけるはずでしたが、原発内はがれきで埋まり、進入はすぐに阻まれたようです。

 「ホースを手で広げるしかないぞ」

 その夜の作戦会議で、がれきを避け、海から放水車までホースを延ばすには被曝の危険が増す車外で作業を行うしかないという結論に達するまで4時間かかったそうです。海水を 3[t/min] で送出するホースは太くて重い。50[m] で 100[kg] だそうです。これを隊員4名で引っ張っていき、350[m] 分敷設する作業です。被爆の危険がある中で、です。作戦の決行は高山幸夫総括隊長ら約40人の隊員に委ねられました。

 「危険度を熟知する隊員の恐怖心は計り知れないが、拒否する者はいなかった」
 
 「常にそばでバックアップしてくれる仲間がいたからこそ達成できた」

作業は約15分で完了し、屈折放水塔車は白煙を上げる3号機に向け、19日午前0時半、放水を開始しました。20分で 約60[t] を放水しました。
sdf_housuisya.jpg
     これは昼間の活動の写真です


 「必ず帰ってくるから安心しろ」

高山隊長は任務に出る前、このように奥様にメールを送ったそうです。奥様からは「信じて待ってます」と短い返信があったとおっしゃってました。

 「日本の救世主になってください」

これは佐藤部長が奥様に福島行きを伝えたときの、返信の内容です。
この一言。

 会見で、冨岡隊長は「国民の期待をある程度達成できた、充実感がある」と報告する一方で、作戦に従事した隊員について「家族には本当に申し訳ない。おわびを申し上げたい」と涙ぐみました。また隊長は「家に帰ったら家族と酒を飲みながら反省会をしたい」と笑い、佐藤部長は「恐怖心を克服し任務に当たってくれたことに敬服の念を抱いている」と隊員らをねぎらっていました。

 私は、一連の報道、会見を見ていて涙が止まりませんでした。自分だけでなく、部下の隊員を見えない敵の真っ只中へ送り込む隊長の心の葛藤。隊員の抱く計り知れない恐怖。それを押し殺してなんとしてでも達成するという使命感。強靭な精神力。自己犠牲の精神。奥様の、家族を国へ捧げる覚悟。この稿を書きながらも、涙が止まりません。

国民が、プロフェッショナルの仕事を固唾をのんで見守っています。
現場で困難な業務に従事されている、消防、警察、自衛隊の方々が、一刻も早く無事にご家族の元へ帰ることができますように。



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